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画像:最終的には直感でした。『今がチャンスだ!行こう!』って。
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最終的には直感でした。『今がチャンスだ!行こう!』って。

大阪の女子野球チーム・amazingに所属し、最高で球速120キロもの豪速球を投げるピッチャー・笹川萌氏。彼女は投手・打手として、あらゆる要素から状況を判断し“レイズ”を仕掛ける。また、笹川氏の挑戦は球場の中だけにとどまらない。YouTubeチャンネルを開設したり、直近ではアパレルブランドを開設したりするなど、“女子野球”を広めるためにあらゆるアプローチを仕掛ける。 彼女が的確なタイミングで“レイズ”を仕掛ける時、思考回路はどのように働いているのだろうか。その判断力の源を探ることは、我々がテキサスホールデムをプレイすることのヒントにもなるはずだ。目黒にあるアミューズメントポーカーハウス・m HOLD'EM目黒で話を伺った。

野球が上手な人は心理系・戦略系のゲームも上手い

――勝手ながら野球は「手に汗握るような駆け引きの多い競技」というイメージがあります。実際のところ、野球で"レイズ"する瞬間ってありますか?

実をいうと「イチかバチか」の瞬間って、そこまで訪れないんです。むしろ攻め方を客観的に判断していく競技なんですよね。

――具体的に、どういった要素をもとに判断していくのでしょう?

まずピッチャーとしては、自チームと相手チームのどちらが優勢でどれくらい点差があるか、というゲーム全体の流れを重視します。そして「相手が今までにどういった球を打っていたか」という記憶を遡り、攻め方を決めます。

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強いて"レイズ"する瞬間があるとすれば、延長戦の時かもしれません。相手チームが満塁という油断できない状況のなか、ファールで粘られ続けると「あれ、どの球を投げればいいんだろう」と判断に迷ってしまうんですよね。

そういう時は、自分が一番自信のある投球で勝負するしかない。あまり私自身は緊張するタイプではないものの、なるべくリラックスしながら投げるよう心がけています。

LINE_ALBUM_220331_33.jpg――では、ご自身がバッターとして打席に立つ時はいかがでしょう?

ツーアウトや満塁など、点差が開きそうな状況の時は"レイズ"を仕掛けるような感覚になりますね。なおかつスリーボール(投手の投球がストライクゾーンを通過しないボールが三回続くこと。4回続くと"フォアボール"となり塁に出られる)の時は結構考えます。

ただ、そこでもやっぱり「がむしゃらに振れば当たるだろう」と運に身をまかせる訳ではありません。むしろ「絶対に打てる」と判断した時だけ振りに行きます。そのために、トレーニングでは「自分が打てる球」を把握し、さまざまなパターンをインプットするんです。そして再現性を高めることが、試合での正しい判断に繋がっていきます。

――自分の可動域を把握しながら判断力の精度を上げていく、というのはテキサスホールデムにも通じそうですね。笹川さんはカードゲームや囲碁などのマインドスポーツを経験されたことは?

今年、メジャーリーガーの秋山翔吾選手のもとで10日間の自主トレ合宿を行った際、一緒に参加した6人の選手と、毎晩2時間ほどカードゲームで遊びました。秋山選手が10種類ほどのゲームを用意してくれていたのですが、本当に楽しくて! 同時に「野球が上手な人は心理系・戦略系のゲームも上手い!」と実感しました。

x_057.jpg――秋山選手、強かったですか?

勝負に出るタイミングと引き際の判断力が素晴らしかったですね。その時にグッときたのは「引くことも勝負なんだよ」っておっしゃっていて。

こういったゲームの時、私は「見極めつつも、悩んだ時にとりあえず攻めるタイプ」なんです。"攻め"と"守り"を別々のものとして捉えていたので「ああ、"守り"も"攻め"の一種だったのか!」と学びがありました(笑)。テキサスホールデムも実際にやってみたら、おそらく性格がそのままプレイに表れると思います。

「やったことを後悔する」か「やらなかったことを後悔する」か

――笹川さんは野球に限らず、YouTubeから直近ではアパレルブランドの立ち上げまで、とても幅広いことに挑戦されていますよね。そこでも「悩んだ時にとりあえず攻める」が効いているように思いました。

直感で......というとすごくカッコつけているように聞こえるのですが(笑)、衝動的になることはあります。YouTubeを始めたきっかけは「野球YouTuber向」さんの企画に出演したことだったのですが「YouTube、もっと女子野球について発信できるのでは?」と可能性を感じました。

当時は女子野球が広く認知されていなかったからこそ、試合をもっといろんな人に観に来てもらいたい、と強く思っていたんですよね。気づいたら勢いのままに、YouTuberとしての活動を始めていました。

x_120.jpg――実際の動画では、野球にまつわる企画からご自身のプライベートに関する企画まで、幅広いことに挑戦されていますが、企画を考えるときに意識していることはありますか?

ありがたいことに野球ファンの視聴者だけではなく、私自身のことを好きでいてくださるファンもいらっしゃるんです。「野球をあまり知らない視聴者さんが何を求めているか」は一つの判断軸になっているかもしれません。

その上で自分が「やりたい」と思ったことをやります。迷う時は「やったことを後悔する」か「やらなかったことを後悔する」か、どちらの未来に進むかを考えます。あとは、大前提として「女子野球を普及させる」という軸をブレさせないように、でしょうか。

――笹川さん自身のファンのニーズにヒットする打率を意識しながら、女子野球に興味を持ってもらえるような企画を発信している、ということですね。

最近では「これ伸びそうだな」という直感も働くようになってきましたね。特に理由はないけれど伸びる気がする、というか。例えば変装して草野球チームに潜入する企画を撮影した時も「なんとなく伸びそう」とは思っていて、実際に反応が良かったです。

【モニタリング】もし貧弱なマネージャーが豪速球を投げたら、、
https://www.youtube.com/watch?v=rf22a-B67Ro

逆に、撮っていて「これは面白い!」と思っても、うまくいかないことはあります(笑)。フラッと何気なく撮った動画が伸びることもあるので、まだまだYouTuberとしては成長しがいがありますね。

直感のまま行動する時は一切の迷いが無い

――笹川さんは昨年2021年2月に勤めていた企業を退社し、同時にYouTubeチャンネルを開設されましたよね。野球選手・YouTuberとしての活動に舵を切った決め手はなんだったのでしょうか?

最終的には直感でした。「今がチャンスだ!行こう!」って。先ほども「先の未来を考えて後悔しない方を選ぶ」と言ったのですが、本当に直感のまま行動する時は一切の迷いが無いんです。

――まさに"オールイン"(手持ちのチップを全て賭けること)を仕掛けるような大きな選択だったと思います。

きっと仕事を続けようと思えば続けられたのですが、そこを捨てて厳しい道に進んだからこそ、今の自分があるのだと思っています。今までのキャリアの中でも"オールイン"をして正解だった、と思う瞬間は結構あるんですよね。

例えば大学の時に肩を故障し、2メートルも投げられない時期があったんです。ピッチャーしか経験したことがなかったからこそ「野球を辞めよう」と思い、しばらく離れていました。

でも当時の監督からポジションチェンジの提案を受けたり、仲間が励ましてくれたりしたことで「続けよう」という判断に至って。本当にターニングポイントだったと思うし、選択を間違えなくてよかったと思います。

x_060.jpg――昨年2021年末には笹川さんの所属球団・amazingで継続しプレイする、という判断をされましたよね。その際に本拠地である大阪へ移住することを決断されたのも、ある種の"オールイン"だったのでは?

そうですね。26年間ずっと関東に住んでいたからこそ、大阪移住はかなりの決断が伴ったのですが......やっぱり直感で、家族にも相談せずに決めました。実を言うと、昨シーズンは個人的に後悔していて「もっとやれた」と感じることが多々あったんです。

ただ、当時の環境では自分を追い込めないと理解していたので、徹底的に野球と向き合おう、と。今は野球、そして自分自身に向き合う時間が多く、成長を実感しています。

――今後も野球選手、YouTuberとしてたくさんの"オールイン"を重ねながら活躍されていくのだろう、と感じています。最後に、笹川さんが今後挑戦していきたいことを教えてください。

今年、個人の目標が「自分の目標を決めること」なんです。目の前のことを中途半端にやっていくと何も見えてこないからこそ、野球に対しても、YouTubeに対しても、またこれから始めるアパレルに対しても100%でまずは向き合おうと思いました。

そして野球チームとしてはとにかく日本一を目指して頑張りたいです。個人的には最終的に"圧倒的に強い野球女子"を目指していて、みんなに認められる選手になりたいと思っています。そのためには実力もつけていかなきゃいけないし、打率・得点・出塁率など何を取っても一番になるつもりでいます。練習試合でいろんな経験をし、負けなしで全部勝ちにいきたい。

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■プロフィール

笹川萌

1995年、神奈川県横浜市生まれ。野球選手。小学校2年生時に父や兄の影響を受け野球を開始。神奈川軟式野球チーム・INFANTSを経て、関西女子野球連盟に所属する野球チーム・amazingに所属。2019年に「野球YouTuber向」の野球チーム「ムコウズ」に参加。2021年に自動車機器メーカーを退社し、自身のYouTubeチャンネルを開設。YouTuberとしても活動する。

x_260.jpg取材後、エムホールデム目黒にて笹川氏にテキサスホールデムを体験してもらった。彼女のYouTubeチャンネルではその様子を配信中!「見極めつつも、悩んだ時にとりあえず攻めるタイプ」と言う彼女のプレイをチェックしよう。
【https://youtu.be/Cuk_6AkdqrI】

写真/Hide Watanabe
取材・文/高木望

初心者でも楽しめる!

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