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画像:新 祐樹インタビュー レイズの瞬間を探れ
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新 祐樹インタビュー レイズの瞬間を探れ

人気TVアニメ『東京リベンジャーズ』花垣武道(以下タケミチ)役で、地上波アニメ作品初主演を務めた声優・新 祐樹。「タケミチとともに声優としての成長を重ねてきた」と語る彼は、作中のタケミチ同様、常に"攻め"の姿勢を崩さないまま演技に挑み続けている。 2022年3月28日からm HOLD'EMアプリにて開催されるTVアニメ『東京リベンジャーズ』コラボレーション企画でも、積極的な"レイズ"の精神でキャラクターボイスを担当した新。なぜ彼は、あらゆる現場で挑戦を続けるのだろうか。

一人でプレイすると結構負け続きなんですよね

――今回新さんにはタケミチのキャラクターボイスをご担当いただきました。どんなことを意識して収録に臨まれましたか?

新:タケミチがもしポーカーをしていたら、ということを想像しながら参加しました。例えば台本に「ブラフ(ハッタリを仕掛けること)、難しいんだよな」というセリフがあったのですが、タケミチが"ブラフ"という言葉を使うのはちょっとむず痒くて(笑)。

彼にとっては言い慣れない言葉だと思うので「このセリフ、『嘘つくの』に変えてみませんか?」など、スタッフさんたちと相談しながらパターンを録っていきました。逆に"ブラフ"っていう言葉がちょっと鼻につくような言い方にもトライしましたし。すごく楽しかったです。

shin_1.png▲エムホールデム コラボ画面 ©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会 ©Sammy2021 

――ボイスを聴けるのが本当に楽しみです! 新さんは"ブラフ"などの用語を言い慣れていらっしゃる印象を受けたのですが、今までテキサスホールデムをプレイされたことは?

新:ポーカー自体は何度か経験があるのですが、テキサスホールデムはあんまり馴染みがなくて。このコラボをきっかけにアプリを触らせてもらい、初めてルールを知りました。

ただ、一人でプレイすると結構負け続きなんですよね......。弱い手札なのにレイズしたりして、強気に攻めすぎてもう全滅。相手の顔が見えないからこそ調子に乗っちゃうんだと思います。

逆に、顔の見える相手と勝負する時は勝ちやすいんですよ。m HOLD'EMのプロデューサー・ガイPさんと対戦した時は、フォールド(勝負を降りること)するかしないか、という心理戦が面白かったです。うまくガイPさんを騙せて嬉しかった!
https://www.youtube.com/watch?v=iacYJRVJYEk&t=112s

――もともとカードゲームや、駆け引きの要素が強いゲームがお好きなんですか?

新:小学生の頃は遊戯王やデュエルマスターズ、あとはゲームセンターにあるポーカーやブラックジャックなどのコインゲームでよく遊んでいました。めっちゃハマっていた、というわけではないものの、"いちかばちか"のギャンブル性も含め楽しんでいた記憶はあります。

東卍は頭がキレるメンバーが多いので、向いているんじゃないかなと思います

――新さんが声優を担当されているタケミチは、どういうスタイルでテキサスホールデムをプレイされると思いますか?

新:僕と似ているような気がします(笑)。顔の見えない相手には強気に攻めて、逆に対面では慎重になるはず。

ただタケミチの場合、相手の顔色を探って悩んだ末に「ええい、いっちゃえー!」ってヘタに突っ込んでいく負け方をしそうです。たまにマグレで成功した時には調子に乗り、それでまた失敗して......を繰り返すタイプだと思います。

shin_2.jpg▲フリーターとしてパッとしない生活を送っていたタケミチは、電車のホームに突き落とされたことを機に"過去にタイムリープする能力"をもつ。東京最大の暴走族・東京卍會に属し、かつての恋人を救うために奔走する。
©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会

――じゃあ、タケミチは東京卍會(以下東卍)の中で一番弱い?

新:いますいます! もっと弱い人! 東卍参番隊隊長のパーちん(林田春樹)の顔がずっと浮かんでます、ずーっと。ルールもまず理解できないでしょうし(笑)。逆にルールが分からないからこそ勝てる、なんてこともありえそう。あとはタケミチの中学時代の不良グループ"溝中五人衆"の1人であるマコト(鈴木マコト)も弱そうです。

逆にマコトと同じく"溝中五人衆"である山岸(山岸一司)や、東卍総長のマイキーくん(佐野万次郎)は強いと思います。スマイリーくん(河田ナホヤ・東卍肆番隊隊長)は「表情が変わらない」という意味で、対戦すると手こずりそうです。

東卍は頭がキレるメンバーが多くて、テキサスホールデムに向いている人が結構いるんじゃないかとは思いますね。

――では東卍以外で、強そうなキャラクターは?

新:そもそも簡単に勝負をさせてもらえないかもしれませんが、稀咲(稀咲鉄太)が一番強いんじゃないですか? ただ強いかどうかは別として、半間(半間修二)とは一緒にプレイしたくないですね。ポーカーフェイスすぎて、反応が読めなさそう。

shin_3_all.png▲タケミチの宿敵である稀咲(左)と、その腹心である半間(右)。
©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会

あと稀咲はまだ話が通じそうですが、半間は心理戦にすら持ち込めなさそうじゃないですか。「オールインだ(手持ちのチップを全て賭けること)。だりぃ」って言われたら、僕はすぐにゲームを抜けると思います。

声優は攻めないとやっていけないような職業だと思います

――先ほどご自身のプレイスタイルについて「強気に攻めすぎて全滅する」とおっしゃっていましたが、普段の声優業で"攻める"瞬間はありますか?

新:大前提、声優は攻めないとやっていけないような職業だと思います。ひとつのシーンを収録する時でも、ディレクターさんの考える及第点を目指すか、期待以上のテイクを録るかによって、声優としての評価は大きく変わるはず。後者を狙うために、常に一度はトライする姿勢を大事にしています。

特に『東京リベンジャーズ』はタケミチ自身が常に人生を攻めていますよね。試してみては失敗し、また振り出しに戻って......と、ある意味で"レイズ"を繰り返しています。

だからこそ、タケミチを演じている僕自身も攻めの意識は強かったです。与えられた役を演じるだけではなく、僕自身の持ち味をタケミチに乗せられたらいいなと思いました。

――『東京リベンジャーズ』は新さんにとって、地上波アニメ初主演作品となりますよね。第一期・第二期と続く中で、どういった"レイズ"を仕掛けていったのでしょうか。

新:そうですね......タケミチが調子に乗るシーンは、より攻めた表現にトライした記憶があります。

例えば83抗争でドラケンくん(龍宮寺堅・東卍副総長)を助けた後、タケミチがドラケンくんのお見舞いに行く最中、街中の人が「タケミチだ!」って彼に注目するんです。

shin_4.jpg▲東卍・愛美愛主の間で起こった抗争。本来はこの戦いでドラケンは死亡するはずだったが、タイムリープしたタケミチの介入によって一命を取り留める。
©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会

この場面では鼻歌などのアドリブを入れてみて、表現を自分なりに膨らませてみました。すると音響監督の飯田里樹さんに「もっと遊んじゃっていいし、それだけやるならもっとやっていいよ」って。スタッフさんたちと一緒になってワンシーンを作り上げている手応えを感じました。

――しかし、タケミチは現在と過去の行き来を繰り返すからこそ、演技が難しいキャラクターなのではと思いました。

新:彼って"26歳のタケミチ"からすれば年下であるはずのマイキーくんやドラケンくんを子ども扱いせず、ナチュラルに先輩として捉えるじゃないですか。かといって変に「時代に合わせて中学生っぽくなろう」ともしませんよね。

そうやって"タイムリープ"という現象を受け入れられる人間だからこそ、時系列の複雑さが演技の難しさに繋がることはありませんでした。

ただ「物語の序盤である1?3話目までは、まだかっこよくならないでくれ」ってディレクションをいただいたときは少し悩みましたね。先に原作を読んでいたからこそ、かっこいいタケミチを知ってしまっていたんです。

過去へのタイムリープを重ねて物語が進むにつれ"26歳のタケミチ"がどんどん成長していく、という意識で演じるようにはしました。

――タケミチという人気キャラクターを演じるにあたって、プレッシャーはありませんでしたか?

新:実はオーディション時点では、原作ファンを意識せずに自分なりの解釈でやらせてもらいました。その解釈でタケミチ役を演じることになったからこそ、意識は変えずに挑もうと思ったんです。

実際に放送が始まると賛否両論はありましたが、自分の中で出した"タケミチの内面"に対する結論は揺らがなくて。「俺はこの手札で勝負する」という信念はありましたね。

欲張りで申し訳ないですが、いくらチップがあっても足りません

――そもそも、新さんご自身が声優業という"手札"を選ぶことになったきっかけはなんだったのでしょうか?

新:中学3年生頃ですかね。夕方や深夜のアニメを観るようになってから興味をもち始めました。ゲームや海外ドラマなど、活動できる環境に幅があることが魅力的だったんです。

高校で演劇部に入って舞台に立ったり、放送部を立ち上げたりするなかで「自分は演じることが好きなんだ」だと気づき、本格的に進路として考えるようになりましたね。そこで役者という道を歩まなかったのは、「なんとなく役者よりも声優の方がなれそうだから」という軽い気持ちもあったかもしれません。

専門学校を経て養成所へ入ることを検討した時、今の自分のもつスキルでご飯を食べるなら、声優という職業が一番良い、と思って声優の道を選びました。

――では、キャリアを歩む中で"オールイン"した瞬間をひとつ挙げるとしたら?

新:1つですか......難しいですね。今まで培ってきたものを全て注ぎ込んだ、という意味では『東京リベンジャーズ』になるのかもしれません。

でも、この5年間でいろんなお仕事をさせていただいたし、個人的には全ての現場でオールインをしているつもりです。きっとこれからも毎回"オールイン"し、成功するときは大成功、失敗する時は大失敗するんじゃないかなって。ポーカーみたいな人生になればいいと思います。

――今後、声優としてはどういうことに"オールイン"していきたいですか?

新:お仕事の幅を広げていきたい、という意味ではタケミチとは異なるタイプの役にもどんどん挑戦していきたいです。MARVELのようなヒーローモノの洋画なども吹き替えが楽しそうです。

また、最近では朗読劇にも少しずつ挑戦させていただいています。難しいと思いつつ、より精度を上げていき、皆さんに楽しんでいただきたい。多くの人に求められるような声優になりたいからこそ、全部に"オールイン"していきます。

欲張りで申し訳ないですが、いくらチップがあっても足りません(笑)。貪欲に生きていこうと思います。

取材・執筆:高木望

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