Topics
【特別対談】じぇいそるさん・堀内正人さんに年納めインタビュー!2022年の振り返りや今後の目標は?
2022年12月6日、「m HOLD’EM目黒」でのSpecial Tag Tournamentイベントに参加いただいた、じぇいそるさんと堀内正人さん。普段なかなか日本にいない二人が揃うめったにない機会ということで、特別にインタビューさせてもらえることに…!
2022年の振り返りから今後の目標、さらにはお互いの印象までざっくばらんに聞いちゃいました!
――まずは、2022年の振り返りからお聞きします。じぇいそるさんは、この1年を振り返っていかがでしたか?
じぇいそる:僕にとって、2022年はトーナメントに特化した1年でした。これまでは(リングゲーム)を中心に活動してきたんですが、この1年間はトーナメントに力を入れて、6月にサミーさんとプロ契約をしてからはさらにトーナメントに舵を切ってきました。ただ、入賞できた回数が2回ということで、自分にとっては厳しい年でしたね。
堀内:キャッシュゲームからトーナメントに舵を切るのって、大きなことですよね。そもそも、ポーカープレイヤーの95%ぐらいがキャッシュゲームで生計を立てているなかで、トーナメントはキャッシュゲームと比べると時間効率的には良くない。キャッシュゲームだったら1日で手に入るような金額が、トーナメントだと入賞するまでに数日かかって、しかも入賞できるのは上位たった10~15%。小さいトーナメントでも参加者が何千人、大きいと2万人とかいるので、確率的には20回30回滑るって全然おかしくないんですよね。むしろ、よくあるぐらいのことで、本当にトーナメントって難しいなと感じます。
じぇいそる:そうですね。
――それでも、じぇいそるさんがトーナメントに力を入れようと思われたのには、どんな思いがあったんですか?
じぇいそる:キャッシュゲームで活動していると、自分自身が表に出る機会ってまずないんです。でも、ポーカープレイヤーとして活躍したいって考えたときに、トーナメントで成果を出さないと誰かに知ってもらうことはできませんし、結果的にそういう活躍を見せないとポーカープレイヤーの地位向上も図れないかなと思ったのもあります。
――さきほど、サミーとのプロ契約したことでさらにトーナメントに舵を切ったというお話もありましたが、プロ契約によってどんな変化がありましたか?
じぇいそる:トーナメントって参加費がかかるので、スポンサーをしていただくことでよりトーナメントに注力できたというのはあります。心境としては、プレッシャーになるとかは特になかったですね。契約してることで、人から見たときに胸を張ってプロと言えるので、そういう意味ではありがたいです。僕としては、自分で自分をプロだと思っていれば立派なプロだと思うんですけど、人によってポーカーのプロって定義が難しいので。
――堀内さんは、2022年はどんな年でしたか?
堀内:僕も同じで、これまではキャッシュゲームを中心にやってたんですけど、今年は3つのトーナメントに参加しました。ラスベガスのWSOP(ワールドシリーズオブポーカー)と韓国のAPT(アジアポーカーツアー)、あとフィリピンのAPPT(アジアパシフィックポーカーツアー)。さっき、トーナメントはキャッシュゲームに比べて時間効率が良くないって言いましたけど、「ポーカーってすごいんだよ」っていうのを皆に知ってもらうんだったら、やっぱりトーナメントの方が魅力が大きいなと思って参加しました。
どれもトーナメントの雰囲気を楽しめたんですけど、やっぱりWSOPは世界一の大会だけあって特別だなって思いました。規模が桁違いなんですよね!参加人数も賞金も。アジアの大会もすごいんですけど、WSOPのサイドイベントの方が圧倒的に規模が大きいんですよ。参加費が5〜6万円とかになるので...。スケールのデカさを感じましたね。次も早く行きたいなっていう気持ちはすごくあります。
もともと麻雀をやってたこともあって大会とかが好きなんですよ。麻雀は、ポーカーに比べると賞金とかほとんどなくて規模が全然違うんですけど。やっぱり大会が好きなので、今後ももっと挑戦していこうとは思っています!
――なるほど、トーナメントにはトーナメントの魅力があるんですね。
堀内:リアルな話では、お金を増やしたい気持ちはありますけどね(笑)。さっき話した通り、トーナメントで入賞できるのは上位10-15%だけで、入賞してもギリギリだとちょっと黒字になる程度なんですよ。たとえば一番大きなラスベガスのWSOPだと、参加費が130万円くらいで、ギリギリ入賞できて200万円になるくらい。上位15%に入れたとしても1.5倍にしかならないので、そこで散っちゃうとダメなんすよね...。でも、ファイナルテーブルまで残れると最低でも1億円以上、優勝すると今年の大会だとたしか15億円くらい。
――同じ入賞でも、すごい差ですね...。
堀内:そうなんですよ。じぇいそるさん、去年のWSOPはかなり順調でしたよね!?
じぇいそる:day5までいきましたね。僕が飛んだのが残り196人とかで、賞金600万円ぐらいでしたね。
堀内:6000人くらい参加して196人まで残るって、その時点でめちゃくちゃすごいんですけど、それでもそのくらいですよね。トーナメントって、自分がベストなプレイをできることに加えて、他のあらゆる条件に恵まれないとなかなか...。
――プレイヤーによって、トーナメントやキャッシュゲームの向き・不向きってあるんですかね?
じぇいそる:どっちをたくさん勉強してきたかっていうのにもよると思いますけど、思考がちょっとギャンブルっぽい人は、キャッシュゲームはあんまり向いてないのかなと思いますね。キャッシュゲームは終わりがないぶん、どこかで道を踏み外すと大変なことになってしまう世界なので...。それに対してトーナメントは終わりがありますし、ドキドキできるというか、ギャンブル要素が僕はちょっと高いと思っていて。逆に、キャッシュゲームでドキドキすることはほぼないですね。
――いわゆる「本番に強い」みたいなものが、ポーカーの世界にもあるんでしょうか?
じぇいそる:本番に強いというか、参加費が高額な大会に出てもプレイスタイルが変わらないとか、そういうのが大事だと思います。参加費が10万円と100万円の大会があったとして、100万円の大会だからプレイが変わっちゃうっていうんだったら、出ない方がいいと思いますね。
――トーナメントなどで出会うこともあるかと思いますが、お二人はお互いにどんな印象を持っていますか?
堀内:じぇいそるさんは、すごく堅実で、コンスタントに勝つイメージがあります。キャッシュゲームでも大崩れはまずしないですよ!安定的に勝つイメージがありますね。
じぇいそる:僕はこれまで動画でを見てきて、すごい好青年の真面目そうな方じゃないですか。だから、ポーカーの打ち方もそういう感じなのかなって思ってたんですけど、去年初めてお会いして意外とアグレッシブなんだと知りました。
たぶん世間のイメージでは僕の方がアグレッシブで、堀内君の方が堅いと思っている人もいると思うんですけど、実際には逆です。僕はキャッシュゲームをずっとやり続けてきてタイトなプレイスタイルが身についちゃってるのもあるんですが、トーナメントはアグレッシブにプレイした方が有利な部分もすごいあって。そういう意味でも、アグレッシブさは堀内君の魅力かなって僕は思ってます。
日本にポーカーブームの風!日本人プレイヤーの強みと課題とは?
――最近は、日本でも「ポーカーブーム」と言われるようになってきました。実際にプレイされていて、そういう雰囲気を肌で感じることはありますか?
じぇいそる:僕は普段ラスベガスで生活していてほとんど毎日カジノへポーカーをしに行くんですが、もう目で見て日本人が増えているのは感じますね。日本人の方に声かけてもらうことも増えました。
やっぱりコロナ禍のステイホームで、それこそ「m HOLD'EM」とかポーカーのアプリが流行ったり、ポーカーについてのYouTubeが広がったことが大きいと思います。有名どころでは「世界のヨコサワ」というポーカーのYouTubeチャンネルが大流行して、そのおかげも大きいと思います。
堀内:本当に増えてます!僕、前回APTで韓国に行ったとき、体感で7,8割ぐらいは日本人でしたね。キャッシュゲームに座ったときには、初め9人で始まったんですけど全員日本人だったんですよ。
あと、この前の渋谷のトーナメントに参加したときも、「m HOLD'EM」のアプリをダウンロードしてる人が8割くらいいて...!日本でポーカーをやってる人が増えてるのを実感しましたし、もっともっとこれから増えていくと思いますね。
――日本人プレイヤーに対して、どんな印象がありますか?
じぇいそる:僕の印象では、圧倒的に上手いプレイヤーが多くて、平均的なレベルが高いですね。勉強熱心な国民性もあるのかなと思います。ポーカーって、負けた後とか行くことが結構辛かったりするんですよ。それでもやっぱちゃんと行くとか、そういうことができるプレイヤーが日本人は多いのかなという印象です。
――逆に、日本人の課題みたいなものは何か感じますか?
じぇいそる:ブラフが少ないのかなっていう印象はあります。それも国民性なのかなと思うんですけど、もう少しブラフを増やせば、さらに強くなれるのではと思ってます。
堀内:本当のトッププレイヤーが日本からまだ生まれてないんですよ。世界ポジションで言ったら、日本のサッカーと同じぐらいですかね。ベスト16までいったら相当すごいぐらいの感覚なので、まだまだです。The Hendon Mobっていうサイトで日本人の賞金ランキングを見ることができるんですが、日本で1位でも世界ランキングで見るとたぶん何百位とかですね。(日本で1位のプレイヤーの世界ランキングは883位、2022.12.14時点)
でも、このポーカーブームが続けば、日本から世界に誇れるようなプレイヤーが誕生するんじゃないかと思ってます。
じぇいそる:そうですね。いつか野球の大谷翔平選手みたいな人がポーカー界から出るんじゃないかなと思いますね。
トップ・オブ・トップのプレイヤーが日本から出ていない理由は僕の中では1個ありまして、それは日本の人たちが英語が喋れないっていうことです。
――ポーカーは言語がいらない競技にも思えますが、どんなときに英語が必要なんでしょう?
じぇいそる:たとえば、ポーカーを学習するソフトとか解説動画とかも英語のものが多いんですね。そういうものに触れられる人が日本人だと少ないっていうのが、トップ・オブ・トップが出にくい理由の1つかなと思ってます。ただ、今後は日本語のソフトもたくさん出てくるとは思いますが。
あと、ポーカーをやっている最中も英語が喋れた方が有利ですね。他のプレイヤーが話している会話の内容もわかりますし、自分から話してテーブルの雰囲気を作ったりもできるので、そういう部分でも多少は変わってきます。
堀内:今、とても反省しました。英語、勉強します(笑)。
日本人って、ちょっと他の国の人よりもシャイだったり、コミュニケーションに苦手意識がある部分がありますね。
―お二人自身もトップ・オブ・トップを目指したい気持ちは強いですか?
じぇいそる:もちろん、目指してはいます。ただ、ポーカーって、どこでいつトップ・オブ・トップになれるかっていうのが全く未知な世界だとは思っています。今が一番全盛期って思いたいですけど、やっぱり若いときに比べると体力も落ちてきますし、プレイしたり勉強したりできる時間も減ってきているようには感じてて。現役プレイヤーとして活動すると同時に、セカンドキャリアについても考えています。たとえば、プロ野球選手が現役を引退した後、コーチになったり監督になったり解説者になったりするじゃないですか。今、サミーさんと契約して日本で唯一の契約プロという立場でもあるので、日本の若いポーカー世代に僕が現役引退後どういった道に進んでいくのかを見せることで、「こういう道があるんだな」と思ってもらえるかなと考えながら、活動してます。
堀内:トップ・オブ・トップを目指したい気持ちは強いです。ですが、世界の壁はとても厚く、The Hendon Mobのランキングで上位に食い込むのは簡単ではありません。まずはWSOPでのブレスレット獲得を目指しています。
2023年も「トーナメントの年」!? 韓国でじぇいそるさん主催トーナメントも開催!
――今後のポーカー業界に期待するのはどんなことですか?
堀内:僕が最初にポーカーを覚えたときって、アミューズメント施設とかがまだ少なく、なかなかポーカーができる場所がなかったんですよ。今はアプリで遊べたりお店ができたりしてどんどんプレイ人口が増えてきて、この流れが続いていったらもっと皆にポーカーを知ってもらえるんじゃないかなって思ってますね。
願望なんですけど、「Pリーグ」を作ってほしいですね!麻雀の「Mリーグ」(※競技麻雀のプロリーグ)に負けないぐらいの「Pリーグ」(笑)。
じぇいそる:本当、こうやってアミューズメント施設が増えてきたのはすごいことだと思いますよね。僕がポーカーを始めたときは本当に1店舗もなくて、ポーカーをやってるって言うと「何それ?」「何か悪いことしてるんじゃないの?」みたいなイメージがありました。世の中に知られてないことが悪いイメージを与えるのかなって僕は考えているので、世の中にポーカーが知れ渡ることによって、ポーカーに対するイメージが悪いものから良いものになっていけばと思います。
――最後に、2023年の抱負や目標を教えてください!
堀内:僕は、日本人のトーナメントのランキングで100位以内に食い込むことを目標にしたいです!トーナメントを本格的に始めてからまだ40回くらいなんですが、来年は頑張って100位以内に食い込んで、名実ともに日本を代表するようなプレイヤーになっていきたい気持ちがあります。
じぇいそる:僕は、2023年は「優勝を目指す」いうことに尽きますね。僕、17年間ポーカーをやっているんですけど、優勝したことがなくて。もちろん、アミューズメントとかで開催されているものの優勝経験はありますが、海外でのタイトルがもらえるような大会で優勝したことがないんです。ポーカープロとしても、トロフィーもほしいですし、優勝したいです。それに尽きますね。
堀内:あと、2023年1月には、じぇいそるさん主催のトーナメント・ASPT(アジアシリーズポーカーツアー)に参加します!
じぇいそる:アジアにはまだ小さいトーナメントしかないので、WSOPのような大会をアジアに作りたいっていうビジョンがあります。目標は、5年以内に賞金1億円を超える大会にすること。木原直也さんをはじめ、有力なチームメンバーに加わってもらえたので、ぜひ期待してほしいです!
――じぇいそるさん、堀内さん、ありがとうございました!
じぇいそるさん主催のASPTは、2023年1月6〜15日に韓国のパラダイスシティにて開催予定!
「日本からの距離も近いですし、日本人スタッフがほぼ大半を占めるので、もし英語が話せなくてもサポートもできる」とじぇいそるさん。「僕もオーガナイザーとして現地にいますし、海外でのトーナメント初心者の方にもおすすめ」だそうです!
2023年は、ASPTでトーナメントデビューもアリかも!?
▼じぇいそるさん主催のトーナメント・ASPTの詳細はこちら
https://twitter.com/official_aspt
■堀内正人
マカオを拠点にポーカープレイヤーとして活動するほか、2020年にYouTube「堀内正人 horihori TV」を開設。ラスベガスで開催されるWorld Series of PokerやAsian Poker Tourに参戦し、その様子を配信している。 2022年現在チャンネル登録者数が13万人を超え、YouTuberとしても人気を集める。元プロ雀士。1985年生まれ。
YouTube:堀内正人horihori TV
https://www.youtube.com/channel/UCU-TOIyElBGT0ma31bC3d4A
Twitter:@horihori0104
■じぇいそる
ラスベガス在住のポーカープレイヤー。22歳でマカオへ旅立ち、以降15年間の間ポーカープレイヤーとして活動。また、2020年からはYoutuberとしてテキサスホールデムポーカーの情報を発信している。
YouTube:旅×Poker
https://www.youtube.com/@jaysol_brothers
Twitter: @jaysol_brothers
初心者でも楽しめる!
m HOLD'EM
エムホールデム
iOS/Android