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画像:一ノ瀬プロの脱・初心者学【Lesson1】スタックサイズとポジション~完全情報の収集と整理~
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一ノ瀬プロの脱・初心者学【Lesson1】スタックサイズとポジション~完全情報の収集と整理~

生涯獲得賞金6億円、日本のポーカー先駆者として世界を股にかけて活躍をするプロポーカープレイヤー・一ノ瀬公聖氏。一ノ瀬プロ自らが、“初心者が中級者になるために知っておきたい知識”を解説します。 「ルールは覚えたけれど、どうやったら強くなれるの?」「ベッティングラウンドの駆け引きに自信が持てない」「実践で使えるポーカーの勉強をしたい」といった初心者はもちろん、中級者も改めて知っておきたいポーカー理論を学んでいきましょう。

マインドスポーツとして代表的な囲碁・将棋・チェスは、いわゆる"完全情報ゲーム"と言われています。"完全情報ゲーム"とは、すべてのプレイヤーが全情報を共有した状態で進んでいくゲームとなります。

一方、テキサスホールデム・ポーカーは"完全情報ゲーム"と違い、"不完全情報ゲーム"と言われるゲームの一つです。

それはプレイヤーに配られるハンドがほかのプレイヤーに開示されず、また毎ゲームごとに変わるからです。つまり、プレイヤーは不完全な情報を元に、ゲームを進めていかなくてはいけません。その上で優位にゲームを進行するためには、相手の手札を予想しながらプレイすることが必要です。

自身に配られた手札だけを考えてプレイしていては、いつまでたってもポーカーは上達しません。

テキサスホールデムは不完全情報ゲームなのですが、皆さんがプレイしているテーブルには完全な情報もいくつか存在します。「コミュニティカード」や「ポットサイズ」などは、全プレイヤーが共有している完全な情報です。

このようにいくつかある完全な情報の中でも、今回解説する「スタックサイズ」と「ポジション」は、ポーカーをするにあたって非常に有益な完全情報となります。そして、この2つは手札が配られていない段階でも、例えゲームに参加していない人でも誰にでも手に入る情報です。それぞれを詳しく見ていきましょう。



ゲーム毎に変動していく「スタックサイズ」

スタックサイズとは、「手持ちチップの総量」のことです。各プレイヤーのスタックサイズは、毎ゲーム手持ちのチップ(スタック)が増減することによって変わります。

例えば、各プレイヤーに配られた初期スタックが1000点で、1ゲーム後にプレイヤーAのスタックが500点になってしまったら、このプレイヤーAに対する最大リスクは500点しかなくなります。同時に、プレイヤーAとの勝負に勝った時の見返りも最大で500点しかありません。

このようにスタックサイズの変動によって、ゲームごとの各プレイヤーに対するリスクとリターンは異なっているため、積極的にベットするのか、消極的にチェックを選択するのかなど、貴方のプレイの幅も変わってきます。

車を運転している時のサイドミラーとバックミラーの確認のように、テーブル全体のスタックサイズを確認することを忘れてはいけません。



アクションの順番によって有利/不利が分かれる「ポジション」

もう一つの有益となる完全情報が、ポジションです。ポジションとは、テーブルの座る位置であり、ひいてはアクションを行う順番となります。

「ポジションを制したものはゲームを制す」という格言があるほど大事な情報です。どこかで聞いたことありそうな格言ですよね(笑)。

テキサスホールデムでは、優利なポジションと不利なポジションが時計回りに公平に回ってきます。優利なポジションでプレイをし、不利なポジションでは勝負を放棄する。自分の今いるポジションの有利・不利を知っておくことで、貴方の意思でゲームを優位に進められるのです。

また、ポジションによって"プレイできる"、つまりフォールドせずに勝負を続けられる手札も変わってきます。

例えば10人座っているテーブルで、最初にアクションを求められるプレイヤー"アンダー・ザ・ガン"の手札は、かなり強いハンドでないとプレイするのは有益でないと考えられています。逆に最も優利なポジションである"ボタン(ディーラーボタン)"の場合、そこまで強くない手札でもプレイすることが有益とされています。

【ポジション一覧】(10人の場合)



[ブラインド]
・ビッグブラインド【不利】
スモールブラインドの左隣。ポストフロップ(フロップ以降のラウンド)ではスモールブラインドの次にアクションを行うため、ポジションとしては全体で二番目に悪いポジションになります。その上、ブラインドを最も多く支払うポジションでもあるので、最も悪い役割と言えるでしょう。

・スモールブラインド【不利】
ボタンの左隣に位置します。プリフロップではボタンの後にアクションをし、ポストフロップでは最初にアクションを決める必要があるので、ポジションとしては最も悪いポジションになります。また、ブラインドを支払うため(ビッグブラインドの半分のチップ)、ビッグブラインドの次に悪い役割です。



[アーリーポジション]
・アンダー・ザ・ガン【不利】
ビッグブラインドの左隣で、プリフロップで一番最初にアクションを決めなくてはならないポジション。後ろにアクティブプレイヤー(まだアクションを行っていないプレイヤー)が最も多く待ち構えているため、有益にプレイ出来る「ハンドレンジ」(手札の範囲)が一番狭い。



[ミドルポジション]
・ハイジャック【有利】
ボタンの2つ前、カットオフ(後述)の右隣となり、10人テーブルでは3番目に良いポジション。このポジションから、全てのポケットペア(ハンドでペアが出来ていること)で参加することが有益になるポジション。Aのスーテッド(Axs)やATo以上のハンドも参加が有益。

【ミニ解説】ハンドの表記法

冒頭2文字がハンド2枚の数字(ランク)を表し、末尾がスートが揃った状態かどうかを表します。スーテッド(スートが揃っている場合/suited)はs、オフスート(スートが揃っていない状態/offsuit)はoとなります。また、xは任意の数字。つまり、「Axs」はAといずれかでスートが揃っているハンド。「ATo」はAと10(ten)でオフスートのハンドとなる。

ハンドごとの強弱については、次回以降に解説します。



[レイトポジション]
・カットオフ【有利】
ボタンの右隣に位置するポジション。ポケットペアはもちろん、全てのブロードウェイカード(10,J,Q,Kのカード)からなる2枚のカードが利益的にプレイ出来ます。2番目に良いポジションになります。

・ボタン(ディーラーボタン)【有利】
最も良いポジション。理由はポストフロップで最後にアクションを選べることと、ブラインド以外のプレイヤーのアクションを見てからアクションを決められるからです。有益にプレイ出来るハンドレンジが最も多く、プレイの幅が大きく広げられるポジションです。




スタックサイズとポジションがプレイを左右する

スタックサイズとポジションによってプレイの判断は変わってくるので、この2つの完全情報をセットで考えるとよりプレイに効果が出るでしょう。

相手/自身のスタックサイズとポジション次第では、普段あなたが当たり前のようにプレイしているハンドでもフォールドしなくてはいけないかもしれません。逆に一見フォールドしなくてはいけないような下位ハンドでも、アグレッシブにプレイ出来てしまう場面も存在します。

テキサスホールデムは相手のハンドが見えないゲームですので、スタックサイズとポジションは相手の「ハンドレンジ」を予想するのに非常に大事な情報となります。

次回のコラムでは、ハンドレンジについては詳しく解説していきます。



■プロフィール

一ノ瀬公聖(いちのせ・こうせい)
1986年、京都府生まれ。2006年にポーカーと出会い、プロを志す。2010年、。以後、アジアを拠点としながら海外やオンライントーナメントで活躍している。『誰でも稼げるポーカープロ』といった著書のほか、自身のYouTubeチャンネルでは解説動画なども投稿中。

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